「天つ風雲の通ひ路吹き閉ぢよ…」僧正遍照

こんにちは。左大臣光永です。新しい一週間が始まりましたが、いかがお過ごしでしょうか?

私は先日学習院大学のOB会で学習院ブランドの日本酒「櫻朶(さくらだ)」をもらってきました。学習院第十代院長・乃木希典が学生たちに櫓船を寄贈した。その櫓船に学生たちが乃木にちなんで櫻朶丸と名前をつけた、その名前にゆらいする日本酒です。

スッキリ飲みやすく、ぐいぐい飲んでしまいました。味にイヤミがなく、一升瓶飲み干しても次の朝ぜんぜんムカムカしない。素晴らしいものでした。段ボール一箱買って常備したくなりました。朝から晩まで飲んでいたい味です。

さて、先日再発売しました「百人一首 全首・全歌人 徹底詳細解説CD-ROM」。
http://sirdaizine.com/CD/Ogura100info2.html

すでに多くのお買い上げをいただいております。ありがとうございます!特典の講演録音「平安京 名士・名所案内」は2017年1月10日お申込みまでです。お申込みはお早めにどうぞ!

本日のメルマガはこの商品の内容にあわせ、百人一首より12番僧正遍照です。静岡同志社クラブ主催の「市民古典歴史講座」の録音です。

↓↓↓音声が再生されます↓↓

http://roudoku-data.sakura.ne.jp/mailvoice/Lect012.mp3

天つ風雲の通い道吹きとぢよ
乙女の姿しばしとどめむ

僧正遍照

天から吹く風よ。雲の通い道を吹き閉じておくれ。塞いでおくれ。この素晴らしい天女たちの舞を今しばらく見ていたいのだ。

五節の舞姫を天女に見立てる

「雲の通い道」というのは、何となくイメージがわきますでしょうか?こう地上界と天上界の間に雲があって、なんかその中をイメージ的な道が走っていてですね、そこを天女が上り下りしているというイメージです。

これは宮中の舞姫の舞を見て、そのあまりのすばらしさに、それを天女に見立ててですね、

「ああ、何と素晴らしい。まるで天女のようだ。この天女たちが天に帰ってしまわないように、もうしばらく、この素晴らしい舞を見ていたいから。ぴゃーーと天から風が吹いてきて、あの雲の間の通い道を吹き閉じておくれという、

舞姫の素晴らしい舞に対して絶賛した歌です。

新嘗祭

新嘗祭(しんじょうさい・にいなめのまつり)は宮中で11月の中旬に4日間行われる行事で、これは現在も行われていますので、ニュースなどで御覧になった方も多いと思います。

四日間、天皇が、その年に新しく採れた穀物をお召しあがりになって、臣下にも供される。その最終日の四日目に、豊明の節会という、無礼講のような宴会がありまして、その宴会の出し物として、五節(ごせち)の舞姫というですね、

国司や公卿の気立てのいい、そして未婚の娘から選ばれた舞姫が四人から五人で舞い踊るわけです。この作者の僧正遍照、俗名を良岑 宗貞(よしみね の むねさだ)といいます。その良岑 宗貞が、宮中で五節の舞姫の素晴らしい舞を見ながら、ああ、素晴らしい天女のようだ。今しばらくこの舞を見ていたい。

どうかぴゃーーと風が吹いてきて雲の通い道を吹き閉じておくれ。そうすれば天女が帰れなくなって、もうしばらくこの舞を見ていられるから。そういう歌です。

作者 僧正遍照

作者の僧正遍照。平安京に遷都した50代桓武天皇の孫にあたる人物です。俗名を良岑 宗貞と言いました。仁明天皇に仕えたいへん寵愛を受けましたが、仁明天皇が亡くなったのに伴い、比叡山に上り出家し、遍照と名乗りました。

遍照!

カッコいいじゃないですか。遍く照らす。何ていい名をつけたのかと。六歌仙の一人に数えられます。

皆様、六歌仙は…言えますでしょうか?

在原業平
小野小町
僧正遍照
喜撰法師
文屋康秀
大友黒主

『古今和歌集』に選ばれている六歌仙。そういうのも覚えていくといいかもしれません。

小野小町とのやり取り

小野小町との歌のやり取りが残っていることで有名です。

小野小町が奈良の石上(いそのかみ)神宮、大和の石上神宮。日本で最古の神社といわれる、朝廷の武器庫とも言われました、この奈良の石上神宮という神社に参詣した時にですね、

その神社の人が言います。

「この近くに僧正遍照さまがお住まいです」
「何ですって。遍照さまが。まあそれは素晴らしい」

そこで小町は、何とかアプローチを取ろうと様子を見ようと、歌を僧正遍照に送りました。

岩の上に旅寝をすればいと寒し
苔の衣を我に貸さなむ

小町

この石上神宮という、石の上ということからですね、岩の上というイメージを導いて、岩の上で旅寝をしていると大変寒いのです。だから、あなたの苔の衣を私に貸してください、とちょっと艶っぽく呼びかけた。すると僧正遍照は、

世を厭ふ苔の衣はただ一重
貸さねばうとしいざ二人寝む

遍照

「世を厭ふ」というのは、出家隠遁して俗世間から離れている私の苔の衣は、この一枚だけです。しかし、貸してくれと言われて貸さないのも、つれないですから、いっそ二人で寝ましょう。

誘いをかけているわけです。なかなか艶っぽい、大人な二人のやり取りという感じです。

天つ風雲の通い道吹きとぢよ
乙女の姿しばしとどめむ

僧正遍照

明日も、百人一首より陽成院の歌をお届けします。お楽しみに。

というわけで

発売中です。

百人一首 全首・全歌人 徹底詳細解説
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百人一首のすべての歌・すべての歌人について
詳しく、楽しく、わかりやすく語ったCD-ROMです。

特典の「平安京 名士・名所案内」は2015年5月に
同志社大学OB会で行った講演の録音です。
2017年1月10日お申込みまでの早期お申込み特典となります。
お早目にどうぞ。

本日も左大臣光永がお話しました。
ありがとうございます。