「みかの原わきて流るるいづみ川」中納言兼輔 ほか

こんにちは。左大臣光永です。12月に入りまた新しい一週間も始まりましたね。いかがお過ごしでしょうか?

私は本日、築地本願寺に行ってきました。築地本願寺はインド式の建築様式が特徴的です。お寺というより宮殿の感じです。デーーンとそびえる本堂に銅葺きの丸屋根が印象深く、本堂の左右には左右対称に翼部がのび、その左右それぞれの翼部の上に高い楼台が立っている、見るからにドラマチックな建物の作りでした。

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さて本日「左大臣の古典・歴史の名場面 」第723回目。百人一首より27番中納言兼輔と28番源宗于です。静岡同志社クラブ主催の「市民古典歴史講座」の録音です。

↓↓↓音声が再生されます↓↓

http://roudoku-data.sakura.ne.jp/mailvoice/Lect027.mp3

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みかの原わきて流るるいづみ川
いつ見きとてか恋しかるらむ

中納言兼輔(ちゅうなごんかねすけ)

みかの原を分けて湧き出づるように流れる和泉川。その「いづみ」という言葉のように、「いつ見た」からといって、こんなにもあなたに恋焦がれるのでしょうか?

まだ見ぬ恋

まず「みかの原」というのは、京都の南を流れる木津川の周辺の土地のことです。ここにはかつて、聖武天皇が一時都を置きました恭仁京(くにきょう)の跡があります。

その木津川という山崎のあたりから京都の南を流れる木津川の、古い呼び方が、いづみ川です。

この歌は「まだ見ぬ恋」というお題で詠まれたものです。だから話の内容は、最後の二行だけなんですよ。

いつ見きとてか恋しかるらむ

あなたをいつ見たからといって、こんなにも恋こがれるのでしょうか?

だから一回も見ていないわけです。

この時代の恋愛は、まず文のやり取りが始まります。歌のやり取りをしてですね、ああなんて素晴らしい歌なんだ。こんな素晴らしい歌を詠む女性は、どんにきっと優しくて、物腰が柔らかくて、それでいて一本筋が通った凜とした強さもあって…とか、いろいろ妄想するわけですね。

で、会って、まだ顔を見ない。 

暗い時に会いますから、相手の顔もわからない。顔もわからないままに、そういうことをして、翌朝。しらじらと朝の光が差してくる時に、「ああ…こんな素晴らしい人だったんだあ」ということもあれば、「エッ…」ということも、両方あったでしょうが、まあ、そういう風習だったわけです。

それを詠んでいる歌です。いつあなたを見たからといって、こんなにもあなたに恋焦がれるのでしょう。その「いつ見」ということを装飾するためにですね、前半があるわけです。

みかの原わきて流るるいづみ川。その「いづみ川」ということから次の「いつ見」という言葉を自然に導く。こういうのを序詞(じょことば)と言います。

だから歌の内容としては「いつ見きとてか恋しかるらむ」あなたにいつお会いしたからということで、こんなにも恋こがれるのでしょうか。「まだ見ぬ恋」を歌っています。

作者 中納言兼輔

作者の中納言兼輔(ちゅうなごんかねすけ。藤原兼輔。三十六歌仙の一人です。鴨川のほとりにですね、鴨川から水を引っ張って、庭園に池を満々とたたえて、そこにお屋敷を構えていまたので、「堤中納言
」と言われます。

そしてこの人は有名なことに、ある人のひいおじいちゃんです。おわかりでしょうか。『源氏物語』の作者。紫式部の曽祖父です。

現在、京都御所のすぐ東に蘆山寺(ろざんじ)というお寺があります。この蘆山寺が藤原兼輔の邸宅の跡であろうと言われています。

ひ孫である紫式部も一時この蘆山寺のところに住んでいたこともある、ということで、境内には紫式部邸宅跡の碑が立っております。また蘆山寺は桔梗で有名なお寺で、また鬼法楽という、節分の時に鬼のかぶり物で踊る行事でも有名です。

小さいお寺で、あまり観光スポットということでもないんですけど、「ああここが中納言兼輔の館か。紫式部もここに住んだのだな」と思いながら歩いてみると感慨もひとしおだと思います。
 


山里は冬ぞ寂しさまさりける
人目も草もかれぬと思へば

源宗于朝臣(みなもとのむねゆきあそん)

山里は冬こそ大変なさびしさだ。人の訪れも絶え、草も枯れてしまうかと思うと。

冬の山里の寂しさ

山里の寂しさ。ひっそりとした、沈んだ感じを詠んでいます。人目が離れる、というのは人の訪れが絶えること。人目が離れると、草が枯れることを掛詞にしています。

去年、千葉の限界集落みたいな所を車で通ったんですが、まさにこんな雰囲気でした。

作者の源宗于(みなもとのむねゆき)は光孝(こうこう)天皇の孫で臣籍降下して源氏になりました。三十六歌仙の一人ということ以外は、エピソードは伝わっていません。

明日は、29番凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)です。お楽しみに。

発売中です。

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お早目にどうぞ。

本日も左大臣光永がお話しました。
ありがとうございます。

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