「心あてに折らばや折らむ初霜の」凡河内躬恒

こんにちは。左大臣光永です。あなたは一日のうちに好きな時間はありますか?私は布団に入って、寝つくまでの時間が、最高ですね。だいたい寝る前に何か暗記ものをやって、暗記しつつ寝るんですけども、それを脳に暗記物を定着させながら寝るのが楽しみの一つと。明日はどんな楽しいわくわくする日だろうと、思いながらゆっくり眠りに入ってく。こんなに楽しいことは無いです。

さて、先日再発売しました「百人一首 全首・全歌人 徹底詳細解説CD-ROM」。
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さて本日「左大臣の古典・歴史の名場面 」第724回目は、百人一首より29番凡河内躬恒(おおしこうちのみつね)です。静岡同志社クラブ主催の「市民古典歴史講座」の録音です。

↓↓↓音声が再生されます↓↓

http://roudoku-data.sakura.ne.jp/mailvoice/Lect029.mp3

心あてに折らばや折らむ初霜の
置きまどはせる白菊の花

凡河内躬恒

当てずっぽうに、折るならば折ってみようではないか。初霜が保護色になって、見えなくして、置きまどわせている、その白菊の花を。

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白菊が初霜の中に保護色になっている

庭いっぱいに初霜が下りていて真っ白なんですよ。その真っ白な中に、白い白菊の花が咲いているので、それが保護色になって、見分けがつかない…

だからこう、当てずっぽうに手を伸ばして、手折ってみようという内容です。

この歌は、わざとらしくて、作り物ぽくて、ダメだと、悪口を言った人物がいます。

誰でしょうか?

夏目漱石

の、お友達。

正岡子規です。

正岡子規が、この歌は作りごとっぽくて実にわざとらしいと、ボロクソにけなしました。正岡子規は「写生」ということを言いました。だから見たまま感じたままをそのまま写し取るを良しとしたわけです。

しかし和歌というものは見たまま感じたままをそのまま写し取るのではなくて、見たまま感じたままの先にある芸術的な世界を作り上げる、というのが和歌の世界ですので、使ってる言葉も日常の言葉と違うわけです。

近代文学の方法論で和歌を批判するのはちょっと方向が違うかな、と思いますが。

心あてに折らばや折らむ白菊の 置きまどはせる白菊の花

百人一首の暗号説

ちなみに皆さまは、百人一首の中に暗号が隠されているという話をきいたことがありますでしょうか?

百人一首という歌集は、藤原定家が何かある隠されたテーマを述べるために作った暗号だ、という説がいくつかあります。

具体的な暗号の内容については、さまざまな説があって一致しないんですけども、ただ全体的に共通しているのは…

藤原定家が、後鳥羽上皇と仲たがいしました。『新古今和歌集』の編集をめぐって。で、もうケンカ別れになったわけです藤原定家と後鳥羽上皇は。

その後、後鳥羽上皇は承久の乱で鎌倉幕府に戦を仕掛けて、負けて、隠岐島に島流しになりました。で、島流しになった後も藤原定家はもうツーンとして、一切後鳥羽上皇を無視して、一通の文も送らなかった…

だから百人一首というものは、もしかしたら後鳥羽上皇の怨霊に対する鎮魂の意味がふくまれているのではないか、という説が多いです。

いろいろな、具体的な暗号の内容はいろいろ説があるんですが、だいたいに共通しているのが、「後鳥羽上皇の怨霊」というキーワードです。

百人一首の中で菊の花が出てくるのはこの一首だけです。何を隠そう皆さま、菊というのは…パスポートにございますでしょう。あの、皇室の御紋。あの、皇室の菊の御紋をはじめたのが後鳥羽上皇だと言われています。

後鳥羽上皇は菊の花をたいへん愛好し、衣にも持ち物にも、菊をあしらった…だからもしかしたら、この「菊」に意味があるのではないかと言われています。

そして「後鳥羽上皇の怨霊」という観点でこの歌をよ~く見ると…

心あてに折らばや折らむ白菊の 置きまどはせる白菊の花

…あるキーワードが隠されているかと思います。

考えてみてください。

作者 凡河内躬恒

作者の凡河内躬恒。三十六歌仙の一人で、『古今和歌集』の選者です。たいへん風流な人物であった。

ある時、醍醐天皇が凡河内躬恒におっしゃっいました。

「躬恒よ、月を弓張ということは、どういうことなのか。
歌でもって示せ」

照る月を弓張とし言ふことは
山辺をさしていればなりけり

山辺をさしていればなりけり、の山辺に入っていくのいると、弓を射るを掛詞として歌で答えたわけです。

そうすると醍醐天皇はたいへん感心なさって、ううむさすがは躬恒である。褒美を取らせる、といって白い衣を凡河内躬恒に下されましたので、それをバッと肩に引っ掛けて、王市河内躬恒、退出して言うことに、

白雲のわが肩にしもおり居るは
天つ風こそ吹きて来ぬらし

白い雲が、つまりこの、肩の衣が、私の肩におりているのは、天から風が吹いてきたのかなあ。こういう洒落た感じの男だったということです。

明日は、30番壬生忠峯(みぶのただみね)と31番坂上是則(さかのうえのこれのり)です。お楽しみに。

発売中です。

百人一首 全首・全歌人 徹底詳細解説
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お早目にどうぞ。

本日も左大臣光永がお話しました。
ありがとうございます。

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