誰をかも知る人にせむ高砂の 松も昔の友ならなくに 藤原興風

たれをかも しるひとにせん たかさごの まつもむかしの ともならなくに (ふじわらのおきかぜ)

意味

いったい誰を昔なじみの知己と思えばいいのか。そんな者はどこにもいない。長寿で知られるあの高砂の松だって、昔からの友人というわけではないのだ。

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語句

■誰をかも 誰をまあ。「か」は疑問、「も」は詠嘆(諸説あり)。 ■知る人にせむ」 「知る人」は自分を理解してくれる人。友人。「む」は意志。 ■高砂の松 「高砂」は播磨国加古郡(兵庫県高砂市)の地名。「住吉の松」と並び松の名所。「高砂の松」は長寿の象徴です。 ■…なくに」「…ではないのに」の古い用法。14番河原左大臣参照。

出典

古今集(巻17・雑上・99)。詞書に「題しらず 藤原興風」。『古今六帖』『興風集』にも。

決まり字

たれ

解説

長く生きていると、友人知人が年々この世から去っていく…その深い孤独を詠んだ歌です。とはいえ暗い落ち込んだ感じではなく、颯々と心地よい風が吹いてきそうな感じもします。

藤原興風(ふじわらのおきかぜ)生没年不詳。平安時代の歌人。三十六歌仙の一人。900年相模掾をはじめ治部少丞、上野権大掾、下総権大掾を経て正六位上治部丞に至ります。

「寛平后宮歌合」「亭子院歌合」などの歌合へ参加。家集に『興風集』。官位は低かったものの勅撰集には『古今和歌集』以下に38首入集。琴の名手としても知られていました。

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