山里は冬ぞ寂しさまさりける 人目も草もかれぬと思へば 源宗于朝臣

やまざとは ふゆぞさびしさ まさりける ひとめもくさも かれぬとおもえば (みなもとのむねゆきあそん)

意味

山里の冬はそれはもう強烈な寂しさだよ。人の訪問もとだえ、草も枯れ果てると考えると。

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語句

■冬ぞ 冬は特に。「ぞ」で冬を強調し「まさりける」で係り結びを受けます。 ■人目 人の見る目。ここでは来訪者を言う。 ■かれぬ 「離れぬ」と「枯れぬ」の掛詞。人の来訪も「離れ」、草も「枯れ」る。 ■思へば 思うと。下二句が上三句の理由。歌全体が倒置法になっている。本来の形は「人目も草もかれぬと思へば 山里は冬ぞ寂しさまさりける」。

出典

古今集(巻6・冬315)。詞書に「冬の歌とてよめる 源宗于朝臣」。

決まり字

やまざ

解説

源宗于(みなもとのむねゆき ?-939)平安時代前期・中期の歌人。光孝天皇の孫、是忠親王の子。三十六歌仙の一人。寛平4年(894年)従四位下となり臣籍に降下して源姓を賜ります。

丹後権守、摂津権守、相模守、右京大夫などを歴任。「寛平后宮歌合」などの歌合に参加。紀貫之らと交流がありました。『古今和歌集』以下に15首を入集。家集に「宗于集」があります。

『大和物語』に右京大夫としてたびたび登場します。出世できない不遇を嘆く話が多いです。

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